「とりあえず学資保険に入っておけば大丈夫ですよね?」という声をよく聞きます。子どもが生まれ、必ず直面するのが、「子どもの教育資金の準備」ですよね。そんな時に私たちプロが必ず言うのは・・・?今回は、後編のご紹介です。
今回は、お子さんの賢い教育資金の準備の仕方(後編)です。
前回は教育資金を貯める上で陥りがちなワナを書きました。
(↓未読の方はぜひ↓)
今回は
・そもそも子どもの教育資金はどれくらいかかるの?
・保険で積み立てる必要はあるの?
・お金のプロが実践する教育資金の貯め方とは?
という疑問に応えていきたいと思います。
そもそも、子どもの教育資金はどれくらいかかるの?
教育資金を貯めるぞ!というお父さんお母さんに
「では、いくら貯めたいんですか?」と聞くと、実は意外と答えられない方が多いです。
これは目的地を定めずに航海する船と同じです。
目標のないまま「(とりあえず)貯めたい」で、果たして子どもの教育資金に足りるだけのお金は貯まるのでしょうか?
そのため、まずは目標を設定するためにも「子どもにかかる教育資金」を見てみましょう。
子どもの教育資金は1人1,000万円ってよく聞くけどホント?
ここで、「保護者が支出した教育費(2012年度)【文部科学省「平成24年度子どもの学習費調査】」を見てみましょう。
文部科学省『平成22年度国立大学の授業料、入学料及び検定料の調査結果について』
文部科学省『私立大学等の平成24年度入学者に係る学生納付金等調査結果について』
日本学生支援機構『平成24年度学生生活調査』
例えば、幼稚園(公立)→小学校(公立)→中学校(公立)と進学し、高校は私立、大学は私立文系(自宅通い)となった場合でも総額は13,142,606円となります。
これらを踏まえたうえで、考えてみましょう。
子どもが高校生になるくらいから、貯金ができなくなるってホント!?
上記のように、例えば、お子さんの教育資金が合計で約1000万円必要だった場合、今すぐ1000万円を用意する必要はありません。
なぜなら、保育園代や幼稚園代のように、月々のやり繰りから支払うことができるからです。
年間約200世帯のご家庭からお金の相談を受けている私の感覚でいうと、お子さんが高校生になるくらいから収入より支出の方が多くなり、「貯金ができなくなる」傾向にあります。
そして、多くのご家庭では、大学受験を機に月々のやり繰りから教育資金を捻出するのが厳しく(毎月赤字に)なってきています。
ですので、子どもが18歳までに1000万円が貯まるようにするのではなく、子どもが17〜18歳時には大学の学費ぐらいの金額を準備しておくのが現実的ではないでしょうか?
大切なのは、「いつまでに、何のために、いくら貯める」のかを明確にしておくことです。
子だくさんの家庭は一人あたり1,000万ずつ貯めなきゃならない!?
子だくさんのご家庭からは、こんな相談もあります。
『うちは子どもが4人いるので、4000万円貯めないといけないんですか!?』
もちろんそれができたら最高ですが、現実は厳しいですよね。
なら、子だくさんのご家庭はどうすればよいのでしょうか?
それは、今ある収入の中で精一杯やり繰りし、今の収入からでき得る限り自動的に貯金していくことです。
子だくさんのご家庭は特に、いつどの子にどのくらいのお金が必要になるのかを把握しておくことが大切です。
教育は親の意向だけでなく、受験制度や子どもの進路希望で想定が狂ったりすることも多々あります。
どうしても資金が足りない場合は、奨学金制度などもありますので、そちらでカバーしていくことも検討しましょう。
保険で教育資金を積み立てる必要はあるの?
前回の記事で学資保険という保険を利用して積み立てた場合のワナを書きました。
それはまとめると
・元本割れリスク
・死亡保障の対象が子ども
・支払免除機能が役立つか状況によっては疑問
ということです。
ここまで見ると確かに『保険で貯める必要はないのでは?』と感じてしまいますよね。
でも、そう結論づけるのはまだ早いのです。
お金のプロは実際にどのように教育資金を貯めているのか
実際のところ、私たちお金のプロが自動化貯金だけで教育資金を貯めているか、というとそうではありません。
私たちも保険を活用しています。
その理由は長期的な(10年を超える)貯金であれば、銀行の定期預金よりも増える可能性があるからです。
ただし、『学資保険』という名前の商品は利用していません。私たちは『終身保険』を活用しています。
『終身保険』を活用すると、お金が貯まる???
私たちお金のプロが教育資金の積立目的に、なぜ『終身保険』を活用しているのか。
それは、以下のポイントを押さえるようにしているからです。
【ポイント1】死亡保障の対象は子どもではなく、親(大黒柱)にする
多くの学資保険は死亡保障が付いています。でも、子どもが亡くなって経済的に困ることはありません。
むしろ困るのは、大黒柱のお父さん(もしくはお母さん)が亡くなって、自分が行きたかった道(進学)を諦めなければならなくなった時です。
死亡保障の対象を大黒柱のお父さん(もしくはお母さん)に設定するのは必然ですよね。
【ポイント2】
支払総額と貰える額を比較する
元本割れしないかどうかをチェックしてください。貰える額より支払いの方が多かったら積み立てる意味がありませんよね。
【ポイント3】
満期は保険会社が決めるものではなく、自由満期(自分が決める)ものを選ぶ
保険には満期という制度があります。これは、その時期(年齢)に達したら、自動的に受け取らないといけない、という制度です。
学資保険の場合、その多くが『年齢』で満期が決まっています。
もしも、年齢で満期を設定していて学齢がズレてしまっていた場合、必要な時期に必要な金額がもらえないことも。
例えば、学資保険の満期金を当てにして私立大学を5~6校併願し、満期はもっと後だと分かったら、目も当てられません…
また、大学は4月入学ですが、アメリカの大学は多くが9月入学。このように、時期がズレてしまう可能性もあります。
さらには、お子さんが進路を変更して、予定よりも早くまとまったお金が必要になることも考えられます。
ですので、私たちは保険会社が決めた満期は非常にリスクが高いと考えています。
私たちは『満期のない保険』(必要になれはその時点で解約できる保険)で準備することをおすすめしています。
【ポイント4】なるべく早く貯金を始め、子どもが高校生になる前に貯めきる(目安は10年)
学資保険というと、18歳まで支払い、18歳で満期を迎えるのが一般的です。
でも、上記で述べたように、多くのご家庭でお子さんが高校生あたりから月々のやり繰りの中で貯金ができなくなります。
つまり、貯金できる余裕がないのに、学資保険のお金だけは無理して確保しなければならなくなるのです。
ですので、私たちはなるべくお子さんが高校生になる前(できれば中学生になる前)に、貯められるだけ貯めきってしまうことをおすすめしています。
そして、そのためには、お子さんが小さいうちからなるべく早く貯金を始めることが大切です。10年を目安になるべく短期間で貯めきってしまいましょう。
お子さんの年齢にあわせて、銀行で貯めるのか、保険で貯めるのかを考えよう
最後に、お子さんの年齢にあわせて、
銀行での「自動化貯金」の仕組みを使うか、保険で『終身保険』(一般的に最短10年)の積み立てをするか、を考えます。
私たちは基本的に、
10年以内に高校や大学の学費がかかるお子さんの教育資金=銀行での積み立て
10年以上先に高校、大学が控えているお子さんの教育資金=保険での積み立て
と、それぞれのご家庭の状況にあわせてアドバイスしています。
それぞれのメリットを有効活用していきましょう。
専門家を交えて夫婦でしっかり話し合いましょう
教育資金は、大切なお子さんの将来を守るためのお金です。
決して配偶者任せにするのではなく、ご夫婦でしっかり話し合って決めましょう。
『子育て』が『孤育て』にならぬよう、日頃から夫婦のコミュニケーションをとり、信頼できるお金の専門家のアドバイスを元に検討していくことが大切です。
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